東京高等裁判所 昭和57年(う)861号 判決
精度確認書は、昭和五五年三月五日付日本無線株式会社横浜工場品質管理課課長補佐吉井正吉作成にかかるもの一通と、同年八月二七日付の同人及び同課課長萩野芳造共同作成名義のもの一通であるが、その内容は、右各日時において、本件違反速度の測定に使用されたJRC車両走行速度測定装置(JMA―一四一E型)の精度を、走行車両のかわりとなる基準信号発生器により確認した結果、右装置は、プラス〇、マイナス一キロメートル毎時の範囲内の測定精度を有し、正常な機能及び動作を保持することが認められるとして、その精度の確認状況を、一五段階に区分した速度毎に、機械的に印字して記載したものである(なお、本書は、右工場の工場長が謄本認証したもののコピーである。)。ところで、精度確認書は、その内容にかんがみ、右会社の業務の基礎として継続的に作成されるものとは認め難いが、車両走行速度測定装置の精度の確認が専ら機械的になされ、作成者の主観、作為等を容れる余地のないことが明らかである。従つて、右文書はこれを刑訴法三二三条三号の書面として取り扱うのが相当である(なお、その基準信号発生器の精度について疑義がある場合に、実際の取扱者を証人として尋問することがあり得るのは別論である。)。以上のとおりであるから、原裁判所が、精度確認書は同条二号の書面であるとの検察官の意見に従つたか否かは別として、これを採用したことには、何らの違法もない。